アルバイト定着

2023.03.02 更新

アルバイトの定着が重要な理由と離職への対策

アルバイトの定着が重要な理由と離職への対策

アルバイトの定着率は経営に大きく関わる問題ながら、きちんと数値管理をしていない企業もあります。
定着率を上げることはアルバイトの採用にかかるコストを削減し、企業や店舗の戦力を高く
維持するのに重要です。
アルバイトの定着率を知り、その影響や向上させるための方法について詳細にご紹介します。

定着率の計算方法

定着率の計算方法

アルバイトの定着率とは、一定期間入社したアルバイトが、どれだけ在籍し続けているかを表します。アルバイトの定着率の影響や向上させるための方法についてご紹介します。

<計算方法>
定着率=(入社した人数-退職した人数)÷入社した人数

例)1年間で10人が入社し、2名が辞めた場合
(10人-2人)÷10人=80%
この場合、定着率は80%となります。
*離職率=20%

厚生労働省が公表した「令和4年上半期雇用動向調査結果」では
年初の常用労働者数に対する割合である離職率は8.7%で、前年同期と比べると0.6ポイント上昇しています。(※1)産業別では「宿泊業・飲食サービス業」が15.0%と最も高い状況でした。

アルバイト採用担当者はこの数字を基準として管理を行うのもいいでしょう。
ただ、業態やアルバイトの年齢層によっても定着率は大きく変わりますので、
数年間データを貯め自社の定着率の平均値等を把握することも重要になります。

※1参照元:厚生労働省『令和4年上半期雇用動向調査結果の概況』
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/23-1/dl/gaikyou.pdf

定着率が低いと起こる問題

定着率が低いと起こる問題

定着率が低いことは企業の経営に悪影響を及ぼします。
2つの悪影響について詳しく解説します。

採用・育成コストが無駄に

アルバイトを採用する手法は、従業員紹介(リファラル採用)、ポスター、ハローワーク、求人広告、自社採用ページなど数多くあります。
スピード感を考えて、コストがかかっても求人広告を使う企業や店舗も少なくありません。
媒体に掲載するのにも掲載費がかかることはもちろん、媒体の営業担当との打ち合わせ、応募者対応、面接、採用連絡などさまざまなことに時間がかかります。
入社が決まれば基本的なオペレーション・マニュアルの指導、教育にかかる人件費など、その新人に使う時間やコストは計り知れません。
採用担当者はその新人が長く活躍してくれることを見越して育成しています。
早期退職はそのかけた時間とコストが一瞬で水の泡になってしまいます。

具体的にいくら無駄になってしまうのか

数字に当てはめて見てみましょう。
今回は定着率が低い企業だと、採用後・求人広告費以外のコストでどれだけ無駄になってしまうのか算出してみました。

例:年間採用人数:6,000人 400店舗 1店舗当たり15人
①早期離職率30%の場合:
6,000人×30%=1,800人
未戦力退職に対する平均支給給与例=¥100,000
(平均10日勤務、交通費、制服代、教育人件費など)
1800人×100,000円=1億8000万円

②早期離職率50%の場合:
6,000人×50%=3,000人
未戦力退職に対する平均支給給与例=¥100,000
(平均10日勤務、交通費、制服代、教育人件費など)
3,000人×100,000円=3億円
※少ない企業でも30%、多い企業だと50%の場合があります。

いかがでしょうか。
大手企業で大規模に採用している場合だと、上記のような考え方ができ、
定着率が低いと数値上では大きなコストが消えてしまっていることがわかります。

新たな人材確保が困難になる

2022年11月のアルバイト・パートの有効求人倍率(季節調整値)は1.35倍。
2021年はじわじわ緩やかに微増してきたのですが、2021年12月以降の伸び率が急増し、
2020年7月の水準(1.19倍)を超えています。

最低賃金も毎年上昇し、東京では202210月より1,072円となっています。
良い人材を採用するには魅力的な待遇を用意する必要がありますが、
全体的に時給が上がっている中で、目立つ高時給を用意するのは簡単ではないでしょう。

時給以外にも、交通費や食事を支給していない企業は少なくなっており、入社祝い金を出す企業も増えています。
労働人口の減少に加え、賃金の高騰により採用は非常に難しい時代になりました。
アルバイトが離職するたびに採用活動をしなくてはならないため、
定着率が低い状態ではこうした難易度の高い採用に繰り返し向き合わなければいけなくなります。

  最新のアルバイト有効求人倍率と労働市場動向

アルバイトが辞める主な理由とは?

アルバイトが辞める主な理由とは?

アルバイトの定着率を上げるためには、アルバイトが辞める原因を理解し、
それらをできるだけ減らすことが重要です。
今回は早期離職と長期間就業後の離職の観点で原因をご紹介します。

早期離職の理由

早期離職とは…主に1~3カ月以内に起こる、戦力になる前の離職
原因としては、初期対応・ミスマッチなどにより起こります。

3ヵ月以降の離職の理由…戦力になったあと、個人によって異なるタイミングで起こる離職
原因としては、学生であれば就職・進学、主婦層であれば夫の転勤など個人的な環境の変化に伴うものが多いです

3ヵ月以降の離職に関しては個人的な要因によるものなので致し方がない場合が多いかと思います。
実際に働いているスタッフにヒアリングし、いつまで働けそうか、どんなライフスタイルの変化がありそうか確認することで
スタッフの離職を予測し次のアルバイトスタッフの採用活動にスムーズに移行することができます。

問題は3か月未満の早期離職です。
具体的にどういった理由で離職に繋がってしまうのでしょうか。
主な理由は以下3点です。

制度・条件

近年、制度や条件が改善され続けています。世の中には仕事があふれており、
どこも人材不足で猫の手も借りたいのが現状です。
そのため、求人情報を探せば、おしゃれなカフェや時給2,000円以上のコールセンターなど、
働きがいがあり、条件のいいアルバイトがたくさんあります。

アルバイトが求める待遇のラインは上がってきているため、
待遇に不満を抱かせたままでいるとすぐに離職してしまうリスクが高まります。

仕事内容のギャップ

求人広告に記載していた仕事内容と入社してからの仕事内容にギャップがあると早期退職につながります。
例えば、常連さんの多い飲食店のホールの仕事に応募し和気あいあいとした想像をしていたのに、
実際にはホールスタッフが少なく常連さんと会話をする時間がないほど忙しい場合、自分の思っていた仕事とギャップを感じ、不満を持ちます。
こういったことが起こらないよう、求人広告は誇張しすぎず正しい仕事内容を記載し、入社後はギャップのないよう求人内容通りの仕事を任せていく必要があります。

人間関係

アルバイトの退職理由として、人間関係に起因するものは非常に多いです。
元々は全くの他人同士であった人間が、狭い空間の中で毎日のように顔を合わせるのですから、トラブルが起こって当たり前です。
人間関係が良くないことによって空気の悪くなった職場に行くのがストレスになったり、
恋愛や友人関係などプライベートのトラブルをきっかけに居心地の悪さを感じるようになるケースがあります。
社員とアルバイトの関係はもちろんのこと、アルバイト同士の人間関係にも気を配り、職場の雰囲気を管理する必要があります。

定着率を上げるための対策

定着率を上げるための対策

それでは、こうしたアルバイトの不安・不満を取り除き、定着率を上げるための対策について解説します。

社員による雰囲気づくり

新しいアルバイトスタッフの初出勤の日、ウェルカムな雰囲気を出すような工夫はしていますでしょうか。
不安と期待を胸に出勤してきた時、すぐに溶け込むことが出来るように工夫をしてあげることで、
アルバイトもスムーズに仕事に馴染むことが出来ます。

例えば、既に勤務をしているアルバイトスタッフに、事前にどういう人が仲間入りするかを伝えておくのも良いでしょう。
趣味や出身地などの情報を伝えるだけでも、周りのスタッフが声をかけやすくなります。

ほかには、ウェルカムボードを用意している企業もあります。
一緒に頑張ろうというメッセージや既存スタッフの写真があるだけで歓迎感を伝えることができます。

また既存のアルバイトには、あまり交流がない人同士をチームにしたり、同じポジションで働かせることでアルバイト同士の人間関係を構築する方法もあります。
逆に相性が悪かったり、人間関係のトラブルがあったときは、異なるポジションにするといった配慮が必要になることもあります。
人間関係は第三者が改善することが難しい部分ですが、社員が職場全体の雰囲気を把握し、極力業務に悪影響が出ないよう管理することが必要です。

待遇・制度面の改善

待遇や制度面の整備により、アルバイトのモチベーションを上げることは効果的です。
シフトの提出時期を個々の状況に合わせて柔軟に変えられる、急な予定が入った際のシフトチェンジがスムーズにできる、
従来週4日以上勤務だったものを週2日以上に変更するなど、シフト面の融通を効かせます。

この仕事ができるようになれば時給UPという可視化された評価制度の導入や、
入社1年で寸志や2年目以降だけの特権を用意するなど、少しのコストで改善できることも多数あります。

採用競合がどんな制度、どんなメリットを用意しているかを調査し、合わせられる、
もしくはより良い条件にできないかを社内で検討することも重要です。

まず、「アルバイト」というバイアスを外す

現場でよく聞くあるある…。「うちのバイトがさぁ…」。
社員とアルバイトスタッフを区別している発言ありませんか?
アルバイトスタッフは社員よりも下、という風に勘違いしている方も多いですね。

では実際どうでしょうか?
アルバイトスタッフ、優秀ではありませんか??
そんなに社員と違いますか?

彼らは「時間単位」で働いてくれているだけであり、何ら社員と変わりません。
ある企業では、社員とアルバイトスタッフの仕事内容に全く差がなく、
アルバイトも管理職や店長になれますし、アルバイトも係数管理も採用面接も育成もします。
当然店長会議にも出席して意見を求められます。

アルバイトという雇用形態を選んだ理由は人により様々です。
例えば学生だったり、扶養控除内で働きたかったり、副業していたり…。
アルバイトという雇用形態だから、社員よりも仕事の範囲が狭い、出来る領域が少ないというのはナンセンスではないでしょうか?彼らはとっても優秀です。
その優秀さに蓋をして、「アルバイトだから」と決めつけてしまっているのは実は社員側なんです。

「さぁ、今日もいっぱい頑張ろう!」そう思って入社してくれた優秀なアルバイトが
「○○さんは、アルバイトだから…」といろんなことに制限をかけてきたら、どう感じますか?
このお店のために、頑張ろうとは思えないですよね。

アンコンシャスバイアス。(思い込みや先入観を外す)
ダイバーシティが当たり前の今では、アルバイトだからというバイアスはまず外しましょう。

誰もが「居心地の良い場所」を作る

誰もが「居心地の良い場所」を作る

心理的安全性。これももう当たり前に言われますね。
社員もアルバイトもお客様も。誰もが「思わず居続けてしまいたくなる」場所を作ること。
人は、安心した場所があるから、自主性が育まれ、自律していきます。
もちろんアルバイトも同じです。

自分も居たくなるから、お客様にももっとよい居場所を提供する。
自分も居たくなるから、友達も紹介する。

ではこの心理的安全性って具体的にどういうことでしょうか?
ハラスメントがないお店?
それは最低限当たり前に必要なことです。

「いつでも気軽に相談できる」。
これが心理的安全性なのです。
そのために具体的な方法をいくつかご紹介しましょう。

(1)名前を呼んで会話をする

アルバイトにきちんと名前を呼んで挨拶していますか?
挨拶って基本ですが、実は忙しかったり、シフト入り(出)する時間が
人それぞれ異なるアルバイトには忘れてしまいがちです。

「○○さん、おはよう。今日もよろしくね。」
「○○さん、今日もありがとう。お疲れ様。」
一人一人にきちんと名前を入れて挨拶しましょう。

またアルバイトの中で、不公平感を出さないためにも呼び方は統一しましょう。
例えばAさんは、さん付けなのに、Bさんはあだ名、というケースもよく見受けられます。
どちらでも構いませんが、大事なことは統一し、不公平感を持たれないようにすることです。

(2)「すみません」ではなく「ありがとう」を多用する

日本語で最もよく使われている言葉は「すみません。」です。
これを「ありがとう。」に変えるだけで、心理的安全性はぐんと増します。

何か頼むときにも
「○○さん、いつもありがとうね。■■をお願いしたいんだけど、いいかな?」
「わかりました!」
「ありがとう。よろしく頼むね。」

と言ったように、前後にありがとう、を挟みます。
もちろん言葉だけではなく、にこっと笑顔を忘れずに!

(3)忙しいオーラを出さない

店長はとかく忙しいものです。
お店の運営、スタッフの育成、本部とのやり取り、当然お客様対応などなど。
その業務内容は多岐にわたり、非常に忙しい職務です。

でも忙しいオーラ出ていませんか?
大事なことは「いつでも気軽に相談できる雰囲気」です。
忙しいオーラが出ていると、相手も話しかけにくくなります。

忙しいを「頑張ってる!」という言葉に変えてみましょう。
これはリフレーミングという自己肯定感を高める1つの手法ですが
自分にとっても相手にとっても、リフレーミングになります。

忙しい、はネガティブワードなので、
言っている本人も、周りの人も、気持ちは自然とネガティブになりがちです。
しかし、頑張ってる!これはポジティブワードです。
「みんなも頑張ってる!私も頑張ってる!」と
みんなを盛り上げていきましょう。

(4)ああなりたい、と思われる言動を

特に学生のアルバイトスタッフにとって、店長や社員は「人生で初めて密に接する生の社会人」なんです。
働き方、働く姿勢は自然と伝わります。

彼らが今後社会人になるときに「あんな風になりたいなぁ」と思ってもらえるか?
これはお店の離職率を低減するだけではなく、彼らの働く価値観醸成に繋がります。

あるお店では(ポーカーショップ)…

店長のポーカー愛がすごくて、いつも接客しながらお客様とポーカーについて熱く語っています。
そこへアルバイトが新たに入店してくれました。
アルバイトのイメージでポーカーは「かっこいいな」くらいだったんです。
ところが、店長からポーカーについての歴史、世界的に競技人口が多いこと、
そもそもポーカーは競技であること、世界大会もあること、などを色々教えてもらいます。
店長はポーカー大会があると、お店はアルバイトスタッフに任せて大会に出席します。
その試合中継を、常にLINEでUPしてくれるんです。
大学生の彼は、これまで仕事観が全くなく、多分卒業したら普通に就職して…と思っていました。
就きたい職業もやってみたい仕事もなかったんです。
ところが、この店長と出会って、彼の中で仕事観が変わりました。
「自分がいいと思えるものを広めたい」と。
そう、まさにこの店長みたいになりたい、と思ったからなんです。

企業においては、何のために働くのか?を経営ビジョンとして掲げています。
しかしそれが店舗になると…浸透していないことも多いですね。
店長は最も力を入れて伝えていかなくてはいけないこと。
それは、お客様にも働く従業員・アルバイトにも
「何のために私たちは働いているのか?」という大きな夢を「自分の言葉」で語り続けることです。

(5)良き相談者となる

いつでも気軽に相談できる場所。
そんな風になると色んな相談をしてきてくれるようになります。
それは仕事以外のことでも。

例えば、とあるお店の店長は就職の際に、模擬面接を練習台になってしてあげていたそうです。
これも店長から言い出したわけではなく、アルバイトスタッフから頼まれたらしいんです。
彼らにとっては、店長は社会人の大先輩。対大人との会話の仕方を学びたかったんですね。

例えば、とある店長は中間期末などの試験勉強をいつも教えています。
これは店長自身が家庭教師をしていた経験から
「学生の本業は勉強。でもアルバイトも頑張ってくれている。だったら僕に何が出来る?」と考えたそうです。
慣習的に、そこのお店ではみんな試験前になると休憩室で教えてもらってるそうです。

例えば、とある塾長は、保護者の夫婦間トラブルの仲裁に入ることもしばしばあるそうです。
生徒の保護者様のケースもあるし、塾講師として働いてくれている主婦さんのケースも。

こんな風に何でも気軽に相談できる職場作りが大事ですね。

(6)誰もが失敗するものだと認識する

人は必ず誰もが失敗します。アルバイト初経験の方なら尚更です。
社会人である店長や社員にとっては、「こんなこと?」というようなことでも
彼らにとって初経験のことは多いんです。

例えば、接客。
社会人にとって、お客様に笑顔で挨拶しましょうね、って割と簡単なことですが
彼らにとってはそうではありません。
今まで、一定の年齢のコミュニティの中で生活していたんです。
それが年齢も性別も家族構成も様々な人に対して笑顔で大きな声で「いらっしゃいませ」って出来ない人も多いんです。

何気なしに発している言葉ですが、実は深く傷つける言葉。
「これ、誰でも出来る簡単な仕事だから。」
「え??こんなことも知らないの?」
「分からなかったら、聞いてよー。」
これらの言葉は、言っている側は何気なしに言ってますが、
とっても心にグサッとくるワースト3です。

「これ、初めてだよね?思ってる以上に実は簡単だから気構えしなくていいよ。」
「ごめんね。これ教えてなかったね。」
「今まで教えたことを1回やってみようか。」
という風に変えてみましょう。

社員もアルバイトも辞める理由1位は人間関係。
人と人とはコミュニケーションで関係性を作ります。
あなたの先入観や思い込みを外し、気軽に相談できるコミュニケーションを心掛ける。
これが定着・離職防止に繋がります。

アルバイトの定着率アップでオペレーション向上へ

アルバイトの定着率が上がると高いスキルを持ったアルバイトが増え、
スムーズに仕事を進められるようになり、オペレーションの質が向上します。

その結果、サービスレベルも向上し、顧客満足度につながり、リピート率が上がり、売上・利益となっていきます。
定着率の投資は将来の利益への投資と考え、自社の13年の定着率を算出し、さらに向上させるための施策を行いましょう。

ノーザンライツでは、企業様のアルバイト採用の支援だけでなく
面接官トレーニングや店舗スタッフ向けの研修など、定着率改善施策のご提案を行っています。
ご興味がある方はノーザンライツまでお問い合わせください。

弊社では定着率向上につながるサービスを展開しています。
ご興味がある方はお気軽にお問い合わせくださいませ。

採用率向上・離職率低下施策とは

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