2023年4月更新|最新のアルバイト有効求人倍率と労働市場動向
2023.4.17更新
※2023年4月17日更新
世界を脅かし続けている新型コロナウイルスは経済に甚大な影響を及ぼしてきました。
同じ業種でも非対面サービスに切り替えて、デリバリーサービスや非対面オーダーシステムの導入、ECサイトでの販売、SNSでの情報発信などの新しい消費ニーズにマッチした手法が普及し業績を伸ばしている企業もあり、新型コロナウイルスは流通や雇用のあり方を改めて考えるきっかけになっています。
ここでは、アルバイトの求人マーケット推移と地域・業界・職種ごと・求職者の動向を見ながら、採用の今後を予測していきます!
ノーザンライツでは、厚生労働省統計「一般職業紹介状況」、総務省統計「労働力調査」に基づき、最新の求人マーケットについて分析し資料化しております。
最新のアルバイト労働市場はどうなっている?
新型コロナが日本で感染拡大し始めた2020年1月頃から急激に有効求人倍率が低下しました。
第1派が落ち着いてきた2020年8月頃に低下傾向も落ち着き、会社都合での失業者増加に伴い求職者は増加し、企業はできる限りで事業継続しながら採用活動を調整してきました。
ここでは、厚生労働省発表「一般職業紹介状況」、総務省発表「労働力調査」の2023年2月時点結果を基に、アルバイトの有効求人倍率と就業者人口の推移を見ていきます。
アルバイトの有効求人倍率
2023年2月のアルバイト・パートの有効求人倍率(季節調整値)は1.35倍。
前年同月伸び率は2021年以降毎月上昇していましたが、2022年12月で鈍化。
前月比が1月に続いてマイナスに転じています。(2月伸び率▲0.01)
2021年1月からの前年同月比の増減を見ると毎月増加傾向にあり、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置解除の前月である2021年9月から前年同月値を上回るようになりました。【図1】
アルバイトの就業者人口
2023年2月のアルバイト・パート就業者数は1452万人(男性334万人・女性1118万人)。
減少傾向の中10歳未満・80代以上が高水準だった前年同月と比べると、
男性▲14万人・女性+14万人で合計+1万人となっています。
前月比は男性▲18万人・女性▲25万人で▲43万人です。
民間求人媒体、ハローワーク業界別・職種別の求人数は?
日本中にある約100の求人媒体から調査・分析ができるHR業界・採用担当者向けクラウドサービス「HRogチャート」が、アルバイト系主要5媒体の求人掲載件数を週ごとに集計しています。
2023年3月第4週のアルバイト民間求人掲載数の推移を見ていきます。
また、業界別・職種別求人数については2023年2月のハローワーク推移を見ていきます。
採用において、応募者の母集団形成はもちろん離職率改善、定着率改善についても
お困りごとがございましたらお気軽にお問い合わせくださいませ。
アルバイト系民間5媒体求人掲載数
※民間5媒体:「イーアイデム」「タウンワーク」「バイトル」「フロムエー」「マイナビバイト」
5媒体の2023年3月第4週の掲載件数合計は2,460,046件。
1月~3月1週の増加傾向から、2週以降は減少に転じています。
前週比▲38,351件、前年同週対比+422,730件(変動率120.7%)となっています。【図2】
媒体別では、
・イーアイデム231,562件(▲1.4%)
・タウンワーク891,066件(▲1.9%)
・バイトル539,453件(▲1.3%)
・フロムエー384,007件(▲1.9%)
・マイナビバイト413,958件(▲0.7%)
すべての媒体で件数減少しています。
都道府県別では、プラスが10道府県、マイナスが37都府県となりました。
・プラス率上位3都道府県: 茨城県、群馬県、島根県
・マイナス率下位3都道府県: 広島県、三重県、滋賀県
ハローワーク業界別求人数
アルバイト・パートの業界別新規求人数を見ていきます。【図3】
前年同月比は正社員、アルバイト・パートともにほとんどの産業で増加。
前月比の伸び幅は正社員よりアルバイト・パートの方が高いです。
前月比で運輸業郵便業が▲10.8%、生活関連サービス,娯楽業が+12.4%。
1回目の緊急事態宣言が発令される前の2020年3月比で、情報サービス業が+37.6%、職業紹介・労働者派遣業が+32%、小売業が▲11.7%と目立っています。
図で示している業界では宿泊業・飲食サービス業が2020年3月比+27.2%です。
ハローワーク職業別求人数
アルバイト・パートの職業別有効求人倍率を見ていきます。【図4】
2020年3月比で専門技術、事務、飲食、建設など求人増加、求職者はほとんどの職種で増加しています。
2月は企業求人より求職者の動向が活発になり、特に北海道・東北・甲信越北陸など地方で大きな動きが見られています。
求職者の動きは?
求人企業の動きに対し、求職者はどう推移しているのでしょうか。
政府や民間による1~2月の動向調査を基に、今後の予測を見立てていきます。
閑散期の中でシニア・学生が前年同期間を上回る動き
総務省「労働力調査」によると、2023年2月の完全失業率が2.6%で、前月より+0.2%でした。【図5】
男女ともに前年同月比水準まで戻っています。
年代別で見ると、学生・若手、中高年の動きが活発化し、ミドル年代層の減少は主婦層の活動鈍化によるものと考えられます。
非自発的な離職はコロナ前より高い水準で停滞。
勤め先都合▲1万人、定年・契約終了要因は+4万人。
自己都合による離職が前年同月を上回るほど増加しました。
休んでいたが労働による収入が必要になり新たに求職を始めた人は、2020年10月を超える増加となりました。
株式会社マイナビ(東京都千代田区)が発表している「非正規雇用に関する求職者・就業者の活動状況調査(1-2月)」によると、11月~12月比、前年同期間比ともに仕事を探した非正規労働者が増加しています。
11月~12月比、前年同期間比ともに増加した属性は、学生、主婦、シニアでした。
就業・求職意欲について、現在と5/8以降の新型コロナ5類移行後の変化が「増える」とした人が26.8%、「変わらない」とした人が64.0%。
「増える」の理由として、「活動制限も緩和され、より幅広い働き方ができると思ったから」「感染しても長い間休まなくてよいから」などが挙がっています。
不特定多数の人との対面接客が多い「飲食・フード」「イベント・キャンペーン」、複数人で建物内で行う「軽作業」といった職種の希望者が、新型コロナの感染リスクの考慮から2020年度より大きく減少していましたが、この期間は11月~12月に比べ「工場・倉庫・建築・土木」「レジャー・アミューズメント」の希望者が増加しました。
今年の春~夏、アルバイト求職者はどう動くか
5月は新生活に慣れて仕事を探し始める人を狙って動きたいところ。
6月は下旬までに夏休み採用を目掛けて募集開始しておきましょう。
夏は短期募集やスポットワークの需要が高まることも視野に入れましょう。
アルバイト求職者 属性別動向予測
<学生>
4月初めの応募が急増しますが、履修登録やサークル決定が終わったGW明けあたりに活発化する人も多いです。
ここ最近は短期バイトやスポットワークを希望する学生が増加しているので、すぐに人材が欲しい時や夏採用は短期バイト募集やスポットワーク募集が効果的と見られます。
<主婦・主夫>
入学や新学期の準備が落ち着いた4月終わり頃から活発になります。
夏休みに入ると動きが鈍化するため、7月中旬までに採用できるように計画を立てるのがいいです。
<フリーター>
春~夏では、夏賞与をもらう・年度切り替わりの6月が一番動くときです。
短期アルバイトをしていた人も含め、高時給の短期・長期勤務可・深夜勤務可の求人に応募が集まりやすい傾向です。
働き方改革による時間外労働の抑制~労働基準法改正と「2024年問題」~
2023年4月に労働基準法の改正が入り、特に時間外労働の割増賃金率引き上げは企業にとっての大きな関心事となっています。
2024年4月からは働き方改革関連法によりドライバーの時間外労働時間に制限がかかることから、「2024年問題」として物流業界各方面への影響が懸念されています。
今回は、労働基準法の時間外労働割増賃金率改正、「2024年問題」について紹介します。
労働基準法改正 月60時間超時間外労働の割増賃金率引き上げ
2023年4月からの労働基準法改正のポイントは以下の通りです。
①月60時間を超える時間外労働の割増賃金率引き上げを中小企業にも拡大
⇒大企業だけでなく、中小企業も月60時間を超える時間外労働の割増賃金が25%→50%に一律引上げ
②デジタルマネーによる賃金支払い解禁
⇒賃金支払い方法が現金手渡し・銀行振込に加え、PayPayなどのデジタルマネーによる支給が可能に
①が働き方改革関連法により猶予廃止になることで適用される改正内容であり、長時間労働を抑制すること、または長時間労働の抑制が難しければ法に則った賃金支給が企業に求められることになります。
時間外労働月80時間が「過労死ライン」と言われており、月45時間を超える者でも健康への配慮が必要と判断される場合は、企業として産業医面接指導などの対応をすることが状況によって必要になります。
同時に長時間労働抑制の施策として、業務効率化と人材確保がカギになります。
「2024年問題」とは?
2024年問題とは、働き方改革関連法によってドライバーの労働時間に上限が設けられることで懸念される諸問題のことで、主に物流業界で2024年度にさらなる増員が必要になる、残業制限により給与減少に不満を持つ従業員が離職するなど、人材面でいっそうの問題が起こると予想されています。
物流業のうち時間外労働年間960時間を超える労働者がいるとした事業者が3割近くおり、規制内に収めることも容易ではありません。
求職者のうち輸送・運転の仕事を希望しない人のうち、挙がっている理由が「体力的にきつそう」「勤務時間が長そう」「時間・肉体的に負担が大きそう」の順になっています。
ドライバーのうち女性が占める割合が2.3%に留まっており、いかに女性労働者が働きやすい環境をつくるか、女性求職者に企業魅力を理解してもらうかが、人材確保のカギとなりそうです。
運送業の時間外労働削減・働きやすい環境づくりの事例
従業員が長く活躍できる職場づくりに取り組んできた運送会社の事例を紹介します!
時間外労働の削減をはじめとする働き方改革が従業員の定着に繋がり、事例発信が今まで取り込めていなかった層(女性・高齢者など)の応募獲得に繋がります。
厚生労働省による「企業が実施した長時間労働削減のための自主的な取組事例」より引用しております。
【事例】業種:一般貨物自動車運送業(労働者数約190名)
◆取り組み内容・結果
1.時間外労働削減
*人型のAIロボット(健康状態、アルコール、運行指示などの点呼とその記録を作成)や
高圧洗浄機の導入による業務のIT化・機械化
*自動車運転者の拘束時間が長くならないよう、荷主に対して必要に応じて運行改善の要請や
契約の見直し、荷下ろし後に行っていた仕分け作業を「仕分け専門員」の配置による業務分担化
⇒<結果>月80時間超労働者数 平成28年最大28人→令和元年最大5人
2.年次有給休暇の取得促進
*会議の際に、取得状況が低調な者に対して積極的な取得を促すとともに、確実な取得に向けて
労使個別面談による計画的なシフト調整の実施
⇒<結果>年次有給休暇取得 平成28年平均1.4日→令和元年平均5.8日
3.働きやすい環境づくり
*「養育手当」を充実させ、子ども一人目は1万円、2人目は2万円、3人目は3万円を毎月支給
*時間外労働が減少しても賃金額が減少しないように賃金形態を改定したことにより全社平均で
賃金額が13.5%アップ
⇒<結果>入社3年以内の離職率 平成28年49.1%→令和元年42.0%
アルバイト求職者の最新動向をチェックし、採用活動に生かしましょう!
2月は求人より求職者の動向が、特に地方において活発化していました。
経済活動が回復しつつある中、非労働力化も引き続き進んでいます。
コロナの影響が落ち着き、特に学生・若手、中高年層の求職活動が表立ってきたことで完全失業者が上昇する結果となりました。
人手不足で機会損失をしている企業も多くあり、求人企業としては求人広告による応募効果も出にくい中で、採用業務の効率化、変革がますます必要になってきます。
詳しい情報を知りたい方は、「資料請求」よりお問い合わせください!
有効求人倍率などの労働市場動向は毎月公表されますので、最新情報をチェックしながら採用計画を見直し実行しましょう。