採用効率化
2025.12.23
採用歩留まり改善のポイント | 雇用形態別の原因や取り組みのコツを紹介

採用活動を進める中で、「応募は来るのに面接につながらない」「内定を出しても辞退されてしまう」などの課題はございませんか。
選考のどこかで候補者が離脱してしまう“採用の歩留まり”。
各歩留まり率は書類選考・面接・内定など各フェーズで、候補者がどれだけ次のステップに進んだかを示す重要な指標です。
歩留まりが悪いまま採用活動を続けると、採用工数やコストが増えるだけでなく、ターゲット人材の取りこぼしによって企業の成長スピードにも影響します。
本記事では、採用フロー別の歩留まり率の計算方法、平均値、悪化する原因、雇用形態別の特徴、そして今日から実践できる改善策までわかりやすく解説します。
自社の採用効率を高めたい方は、ぜひ参考にしてください。
採用の歩留まりとは

採用の歩留まりとは選考の各フェーズで、候補者がどれだけ次のステップに進んだのかを表す数値です。
たとえば上記画像のような採用フェーズの場合、書類選考通過者数、一次面接通過者数、最終面接通過者数、内定承諾者数それぞれの段階で歩留まり率が出せます。
この歩留まり率が低いほど、候補者の離脱が多く採用の効率が悪いことを表すのです。
採用の歩留まり改善が重要な理由
採用の歩留まりが重要な理由は、以下の3点があります。
・採用工数が省略できる
・採用コストを削減できる
・企業の成長スピードに影響する
中小企業では特に、少数の人事担当者が行っているケースが多いのではないでしょうか。
仮に採用目標の5人中3人しか採用できなかった場合、追加の求人掲載費用や対応工数を割くことになります。
代理店やメーカーと改めてコミュニケーションを取ったり、候補者や面接担当者との日程調整が発生したりするとリソースの圧迫に繋がりますよね。
またターゲット人材の取りこぼしや採用時期のずれ込みにより、企業の成長スピードにも大きな差が発生してしまうのです。
このように採用の歩留まりは、担当者のリソース圧迫だけでなく、企業の成長スピードにも影響します。
採用フロー別 採用歩留まりの計算式

採用歩留まりを把握するには、正確な数値の把握が重要です。
歩留まり率の計算は以下のとおり
歩留まり率(%)=通過人数÷候補人数×100
歩留まり率は選考フローごとに算出すると、どのフェーズの歩留まりが悪いのかが明確になります。
今回は書類選考→面接→最終面接→内定の採用フローを仮定した計算式を紹介します。
歩留まり率の計算式
| 指標名 | 計算式 | 意味 |
|---|---|---|
| 書類選考の歩留まり率(書類選考通過率) | 書類通過者数 ÷ エントリー数 × 100 | エントリーした候補者のうち、書類選考を通過した割合 |
| 面接設定の歩留まり(面接設定率) | 面接設定者数 ÷ 書類通過者数 × 100 | 書類通過者のうち、面接設定まで進んだ割合 |
| 一次面接の歩留まり率(面接通過率) | 一次面接通過者数 ÷ 面接設定者数 × 100 | 面接設定者のうち、一次面接を通過した割合 |
| 最終面接の歩留まり率(内定率) | 内定者数 ÷ 最終面接通過者数 × 100 | 最終面接まで進んだ候補者のうち、内定に至った割合 |
| 内定承諾率(入社率) | 入社者数 ÷ 内定者数 × 100 | 内定者のうち、実際に入社を決めた割合 |
書類選考通過率と面接設定率どちらも出す理由は、書類通過者数=面接参加者数とはいえないため。求職者は応募したからといって必ず面接に参加するとは限りません。
「書類選考を通過したけど、志望度が落ちた」「提示された日程が合わない」など、辞退される理由は複数あります。この面接設定率が悪い場合、自社の応募者対応や求人内容に問題があることが考えられるのです。
また内定率が悪い場合、面接の評価軸や面接後のフォローに問題があるのかもしれません。
では最終的な歩留まりがどれくらいなら適正といえるのでしょうか。次に歩留まりの平均値を紹介します。
採用歩留まりの平均値
株式会社マイナビが調査したアンケートから、中途採用の歩留まり平均値を紹介します。
なお様々な採用フローの企業様の集約結果のため、今回は以下計算式で各指標を定義します。
歩留まりの指標(平均値)
| 指標 | 計算式 | 平均値 |
|---|---|---|
| 面接設定率 | 面接設定者数 / 応募者数 | 48.6% |
| 内定率 | 内定者数 / 面接設定者数 | 63.2% |
参照:株式会社マイナビ | 中途採用状況調査2024年版(2023年実績)
自社の実数値と比較した結果から、改善値特定の参考にしてみてください。
それでは採用歩留まりが悪くなる原因として、どのようなケースがあるのでしょうか。
次に各採用フローで採用歩留まりが悪くなる原因を紹介します。
各指標の歩留まりが悪くなる原因

歩留まりが悪くなる原因は、指標によって異なります。また複数要因が掛け合わさって発生することが多いです。この見出しでは各指標の歩留まりが悪くなる原因をまとめて紹介します。
書類選考通過率が低い原因
書類選考通過率が低いとき、考えられる原因は以下のとおり。
・募集方法が採用ニーズと合っていない
・求人原稿のターゲット設定ミス
書類選考は候補者のスクリーニングが目的のため通過率が低い場合、ターゲット求職者の応募を獲得できていないと考えられます。たとえターゲットや条件を広げて一時的に書類選考通過率を上げたとしても、内定率が下がる可能性があるため注意が必要です。
面接設定率が低い原因
面接設定率が低い原因は以下のとおり。
・選考フローが長い
・連絡・調整の遅れ
・社風が合わないと感じた
・面接官や人事の態度が悪い
面接設定率が低いということは、書類や面接を通過したにも関わらず面接に繋がらない候補者が多いということ。特にZ世代と呼ばれる若年層の候補者は、効率重視の”タイパ”志向です。
候補者は複数企業の選考を同時進行で進めているため、連絡が遅いと辞退される確率が高まります。
また二次面接以降の辞退は社風が合わなかったり、面接官にマイナスの印象を持った可能性が高いです。面接設定率は企業側の対応で改善されるケースも多いため、後から紹介する改善方法を参考にしてみてください。
面接通過率が低い原因
面接通過率が低い原因は以下のとおり。
・社風に合う応募者を獲得できていない
・求人と実際の業務にギャップがある
・書類の選考基準に問題がある
面接通過率が低い場合、社風や仕事内容に合う候補者を獲得できていないことが考えられます。募集媒体を変えるべきか、求人の訴求を変えるべきか、選考基準が明確になっていないのか、状況に合わせた対応が重要です。
最終面接通過率(内定率)が低い原因
最終面接通過率は、以下の原因によって最終面接前の辞退が発生すると低くなります。
・選考期間が長い
・社風が合わないと感じた
・働くイメージが持てなかった
最終面接のフェーズに入ると、候補者は具体的な入社のイメージを持ち他の企業と比較し始めます。
選考の途中で自社の魅力が伝わるようなコミュニケーションを取ることが重要です。また選考期間が長いと、他の企業に内定が決まってしまう可能性があります。
選考が進むとともにスピード感を持った日程調整が重要です。
内定承諾率(入社率)が低い原因
内定承諾率が低くなる原因は以下のとおり。
・社風が合わないと感じた
・面接官や人事の態度が悪い
・条件面の不一致
最終面接での企業と候補者との相互理解、内定後に先輩社員と関わる機会の提供など、働くイメージを持ってもらう施策が重要です。また条件面での辞退も考えらます。若年層を中心にライフワークバランスを重視した働き方が好まれる傾向です。
条件を見直すなど採用フロー外の対応も重要といえるでしょう。
【雇用形態別】採用歩留まり悪化の要因と改善ポイント

歩留まり悪化の原因は、雇用形態でも異なります。
この見出しでは、新卒・中途・アルバイトの選考を例に、よくある歩留まりの原因を紹介します。また全ての雇用形態で選考経験のある筆者が、求職者目線で辞退の原因となった事例も紹介するので参考になりますと幸いです。
新卒採用の歩留まりが悪くなる要因
新卒採用の歩留まりが悪くなる要因は、以下のとおり。
・母集団が大きいため志望度が差がある
・選考期間が長く他社に流れやすい
・入社の動機づけが弱かった
・面接官や人事の態度が悪かった
新卒採用はほぼ同時期に選考がスタートします。候補者は初めての就職活動かつ入社意欲にも差があり、手探り状態で応募をしている候補者が多いでしょう。
そのため「ここで働きたい!」とイメージを持ってもらえるような入社の動機づけが特に重要です。
中途採用の歩留まりが悪くなる要因
中途採用の歩留まりが悪くなる要因は以下のとおり。
・募集方法が自社の求人と合っていなかった
・求人内容と実際の業務にギャップがあった
・選考期間が長かった
・給与や働き方の条件不一致
中途採用で歩留まりが悪くなる理由は、ターゲットに合わせた募集方法や訴求に問題があるケースが多いです。転職を目指す求職者は、新卒採用よりも「こんな仕事・働き方がしたい」「これだけの給与が欲しい」という条件が明確にあります。
また内定承諾期限が1週間程度しかないため、他の企業に内定が決まった場合辞退されてしまうリスクが高いです。
選考実施後の合否連絡・選考日時にスピード感を持って対応が必要でしょう。
アルバイト採用の歩留まりが悪くなる要因
アルバイト採用で歩留まりが起こる要因は以下のとおり。
・シフト条件の不一致
・勤務地が合わない
・面接日程調整の煩雑さ
アルバイト採用はシフト条件の不一致が歩留まりに大きく影響します。
実際弊社で非正規雇用で働く562人を対象に実施したアンケートでは、求人を確認するときに優先するポイントで多かった回答は以下の結果でした。
| 順位 | 項目 |
|---|---|
| 1位 | 給与 |
| 2位 | シフトの融通が利く |
| 3位 | 自宅から通いやすい |
また直近のアルバイトを決めた理由として、26.6%の人が「応募から面接・採用までの流れがスムーズだった」ことを上げています。
このことからアルバイト求職者は、仕事内容よりもシフト条件・働くまでのスピード感を重視しているとわかるでしょう。
筆者が経験した面接辞退の原因
この見出しでは、正社員雇用3社/アルバイト雇用5社の経験がある筆者が、実際に選考辞退の原因となった事例を紹介します。
【新卒採用】
面接の雰囲気で自分が働くイメージが持てなかった企業は辞退を選択しました。学生目線では面接官=会社の顔という印象で強く残ります。圧迫面接などで不安を煽ることは控え、自社の仕事に興味を持ってもらえるようなコミュニケーションが重要です。
【中途採用】
求人と一次面接で聞いた仕事内容にギャップがあったこと、面接時間が平日日中のみ対応の企業で辞退を選択しました。また書類通過後に指定日時の説明会に参加が必要だった企業もあり、現職との都合が付かず辞退したケースもあります。
17時~18時以降に面接開始が可能な企業は、日程調正のハードルがグッと下がりました。他の企業との選考スピードを考慮した転職活動が必要なため、通過連絡から1週間以上面接が後ろ倒しになる場合は辞退のリスクが高まるでしょう。
【アルバイト採用】
「週2回~OK・シフト相談可」と求人に書いているにも関わらず、面接に行くと週3回以上や固定の曜日・時間の勤務を求められるケースで辞退を選択しました。学生は授業や他の予定に合わせてシフトを選択したいニーズが高いです。筆者自身アルバイトの掛け持ちをしていたため、シフトの融通が利くかどうかは重視していました。
固定シフトでの募集をする場合はターゲティングをし直す、または予定によってシフトを柔軟に調整できるなどのアピールポイントを準備しておきましょう。
採用活動の歩留まりを改善する6つの方法

採用の歩留まりを改善する方法は以下のとおり。
・採用ターゲットに合った媒体へ変更する
・採用フローを短縮する
・連絡や日程調整をスピード感を持つ
・求人の内容と実際の業務に不一致がないか確認する
・採用ブランディングに力を入れる
・人事担当者や面接官の指導・教育
採用ターゲットに合った媒体へ変更する
募集方法の選定は、歩留まり解消のために重要です。なぜなら求人媒体によって、求職者の属性や経験が異なるため。もしターゲットと異なる応募者ばかり募集があるのなら、募集方法を変更するのもひとつの手です。
たとえば日中の決まった時間のシフトを埋めたい場合は、主婦(夫)層をターゲットに絞ったしゅふJOBがおすすめです。求人媒体の選び方については、以下の記事で詳しく紹介しています。
採用フローを短縮する
書類選考以降の辞退が多い場合は、採用フローを短縮してみてはいかがでしょうか。選考のステップが増えるほど、他の企業へ人材が流れるリスクが高まります。
例えば説明会や筆記試験と一次面接を同日開催するなどで、1週間~2週間選考期間を短縮できるのです。
連絡や日程調整をスピード感を持つ
選考のリードタイムの短縮は、歩留まり改善に大きく影響します。書類や面接の通過連絡は1週間以内でなるべく早く行うことはもちろん、面接候補日も先になりすぎないように注意が必要です。ただし1人や少数の採用担当者で選考を行っている場合、コア業務に追われて対応が遅れる場合もあるでしょう。チャットボットなどを使った日程調整の自動化により、効率よく採用活動を進められます。面接日程調整後はメールでの連絡と電話での案内に加え、前日のリマインドメールも忘れないようにしましょう。
採用効率を上げる方法は、以下の記事で詳しく紹介しています。
求人の内容と実際の業務に不一致がないか確認する
求人票の内容と業務内容の不一致は辞退に繋がるため、注意が必要です。
特に一次面接以降の歩留まりが悪い場合、「想像していた仕事内容と違った」と感じられている可能性が高いです。応募者とのミスマッチが発生しないように、具体的に記載するようにしましょう。
求人の書き方のポイントは、以下の記事を参考にしてみてください。
採用ブランディング
採用ブランディングは自社の志望度が高い有効応募の獲得に有効です。
採用ブランディングとは、企業の認知度を上げて求職者へアプローチする手法のこと。
即効性は期待できませんが、「この企業で働きたい」と考える求職者を長期的な目線で集められます。ミスマッチを解消し、競合との差別化を行うためにも採用ブランディングの仕組み取り入れてみてはいかがでしょうか。
採用ブランディングについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
人事担当者や面接官の指導・教育
求職者と一番地近い距離で関わる人事担当者・面接官の指導・教育は歩留まり解消に有効です。
面接官=会社のイメージに直結します。実際筆者も新卒・中途面接ともに、面接官の印象から「ここなら安心して働けそう」と思い入社を決めた経験があります。
面接は応募者を一方的に評価するものではなく、相互理解の場として機能させることが重要です。面接の考え方や改善策について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
採用リードタイムを短縮するツール2選
この見出しでは歩留まりの解消に有効なツールを紹介します。
・採用チャットボットリクター
・対話型AI面接SHaiN
採用チャットボット「リクター」で面接日程調整を自動化
採用チャットボット「リクター」を活用すれば、面接の日程調整を自動化できます。
Z世代を中心に「応募後すぐに連絡が欲しい」と考える求職者は、増えています。
採用チャットボット「リクター」は24時間365日対応が可能なため、忙しい採用担当者に代わって事務作業を行ってもらえるのです。
実際導入した企業では、面接率が10%アップしました。
採用チャットボット「リクター」について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
対話型AI面接SHaiNで面接の効率化・均質化
対話型AI面接SHaiNを活用すると、面接のリードタイムが短縮できるだけでなく自社の求める人物像に合った評価基準で選考が可能です。
対話型AI面接SHaiNとは、面接担当者に代わってAI面接官が面接を実施するツールです。求職者は面接会場に足を運ぶことなく、好きな時間に面接が可能なため無断キャンセル防止に繋がります。
また自社の求める人物像に合った人材のスクリーニングができて、次の選考以降の歩留まりを改善できる可能性があるのです。
対話型AI面接SHaiNについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
【資料DL】対話型AI面接サービス SHaiN

対話型AI面接サービスSHaiNは候補者の資質を見極める「戦略採用メソッド」で、面接の効率化・評価の均質化を実現!面接キャンセルなどの歩留まり改善に活かせますよ。
まとめ
採用の歩留まりは、単なる数値ではなく「どこで候補者が離脱しているのか」を可視化するための重要な指標です。
書類選考・面接設定・一次面接・最終面接・内定承諾のどこで歩留まりが悪化しているかを把握することで、改善すべきポイントが明確になります。
歩留まりが悪くなる原因は、以下のとおり。
・募集方法のミスマッチ
・選考期間の長さ
・求人内容と実際の業務のギャップ
・面接官の対応
・条件面の不一致
また、新卒・中途・アルバイトなど雇用形態によっても離脱理由は異なります。
改善のためには、以下のポイントに注意するとよいでしょう。
・ターゲットに合った媒体選定
・選考フローの短縮
・迅速な連絡・日程調整
・求人内容の見直し
・採用ブランディング
・面接官教育
歩留まりの改善は、採用効率を高めるだけでなく、企業の成長スピードにも直結します。
自社の採用データを振り返り、改善できるポイントから着実に取り組んでいきましょう。








